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「寂しかったに決まってるじゃない……」
この三カ月、霧島くんの温もりが欲しくてたまらなかった。
他の誰かじゃ意味がない。
他の誰にも、代わりなんて出来ない。
「会いたかった……」
「うん。俺も会いたかったです」
「……どうしたの?今日は素直だね」
「俺も素直になりたいときくらいあります」
「……」
付き合い始めてから更に彼の優しさや甘い顔を知ったけれど、それでもこんなに素直な彼を目の当たりにすることはあまりない。
貴重な霧島くんの一面、存分に満喫しておこう。
「でも、俺はそんなに寂しくなかったですよ」
「えっ……」
ここにきて、まさかの寂しくなかった発言が出るとは。
私は毎晩眠る前に霧島くんのことを考えては、寂しい思いをしていたのに。
「きっと樹さん、俺に会えなくて寂しくて、毎日俺のことばっか考えてんだろうなって思いながら過ごしてたら、意外と平気でした」
「何それ……」
もう、脱力してしまう。
霧島くんの理屈は正直よくわからないときがある。
それでも、脱力した私を見て霧島くんは楽しそうに笑うから。
私もつられてしまい、気付いたときには自然と笑顔になっていた。
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