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霧島くんが東京に異動してから、三ヶ月が経過した。
季節は夏。
眩しい日差しが照りつける青空を見上げながら、遠くに住む彼のことを想う。
彼は元気にやっているだろうか。
こちらにいたときのように、淡々と仕事をこなしているのだろうか。
「永里、明日の東京出張の準備出来てんのか?」
「出来てますよ。子供じゃないんですから」
「でも良かったなぁ。東京にいる彼氏に久し振りに会えるだろ?お前を出張に任命した俺のおかげだと思えよー」
「……」
三ヶ月前、ブライダル部門の社員たちに交際がバレてしまってから、あっという間にその噂がホテル内に広まってしまった。
当然、広報室内にも噂は届き、それからというもの前島室長には霧島くんのことで茶化される日々が続いている。
「お前、嬉しくないのか?アイツが東京行ってから会うの、今回が初なんだろ?」
「それはもちろん嬉しいですけど……今回は仕事で行くので浮かれるわけにはいかないですから」
「相変わらずお前は真面目だなぁ」
なんて言ってはみたものの、内心は相当浮かれていた。
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