エピローグ

6/16

267人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「相変わらずぼーっとしてますね」 「へ……」 「仕事中はそんな変な顔しないのに」 苛立つようなことを言われているはずなのに、その毒舌さえも何故だか今は胸にキュンときてしまう。 離れていると、余計に何もかもが愛しく思えるのかもしれない。 「へ、変な顔なんかしてないし」 「してましたよ。何考えてたんですか」 「……やっと本物に会えたと思ったら、嬉しくて仕方なかったの。私はいつだって仕事以外のときは……霧島くんのことばっかり考えてるよ」 紛れもない本心だ。 どこにいても、何をしていても、頭の片隅にはいつも彼がいる。 胸の奥にはいつも彼がいる。 私の中から霧島くんがいなくなることは、きっとない。 「あ、そうだ……ご飯どこ行く?お腹すいたよね?私は何でも食べれるから、霧島くんの行きたいお店に行こうよ」 「あー……、じゃあこの辺に旨いとこあるんで、そこ行きます?」 「うん、そこがいい!」 私のいない場所で、彼は普段どんな生活をしているのか。 東京ではどんなお店によく行くのか。 知りたいことなら、山ほどある。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

267人が本棚に入れています
本棚に追加