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霧島くんが一人暮らしをしているマンションは、職場から二駅ほどしか離れていない所にある。
通勤に時間をかけるのが面倒だからと、選ぶときに立地は最優先事項だったらしい。
面倒くさいことが苦手な彼らしい選択だ。
白を基調としたシンプルで生活感のない部屋。
札幌に住んでいたときの部屋の雰囲気と、少しも変わっていない。
シンプルなものを好む彼が住むと、自然とこういう部屋になるのだろう。
「じゃあ、すぐ作っちゃうね。霧島くんは好きなことしてていいから」
今日の献立は、オムライスとジャガイモのスープとシーザーサラダ。
頭の中でどういう手順で作るか考えながらジャガイモの皮を剥いていると、キッチンのカウンターから霧島くんが顔を覗かせてこちらを見ていた。
「……」
見られると気になって、料理に集中出来なくなる。
「霧島くん、テレビとか見てていいよ。まだ少し時間かかるから」
「好きなことしててって言ったじゃないですか」
「言ったけど……」
「テレビよりこっち見てる方が飽きないんで」
「……っ」
思わずジャガイモを落としそうになり、しばらく料理に集中出来なくなったのは言うまでもない。
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