氷の女の意外な一面

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「ブライダル部門で企画や広報を担当している永里樹さん。霧島もこれから彼女と仕事を組む機会が増えてくると思うから、いろいろ彼女から学ばせてもらうといいよ」   「初めまして、永里です。よろしくお願いします」 「霧島です。よろしくお願いします」 初対面の俺に対し、彼女はニコリともしなかった。 すぐに俺からは視線を外し、無表情のまま楢崎主任に淡々と業務の話をしていく。 だけど、彼女の態度に嫌悪感は抱かなかった。 むしろ、ここまで愛想のない女性は珍しい。 だからか、変に印象深かった。 「主任。永里さんって、笑わない人ですね」 「あぁ、確かにね。男性相手にはあまり笑顔は見せないかな。仕事は文句なしで出来るんだけどね」 「そうなんですか」 「プランナーの子たちとは談笑するときもあるよ。でも、あんまり感情を表に出さない人かな。絡みにくいかもしれないけど、彼女は信頼出来る人だよ」 笑顔は見せなかったけれど、冷たい人だとは思わなかった。 彼女の第一印象は、無愛想な女。 その程度だった。
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