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自分の想いをハッキリと口にしたことはなかったけれど、言葉に出来ないこの想いに気付く人はいた。
「純、綺麗だね。すごく幸せそう。ドレス似合ってるよね」
「そうだな」
「ねぇ、霧島」
「何」
「あんたさぁ、結局純には一度も言わなかったんだね。好きだって」
「……」
俺の初恋の相手、梶真純。
その純の親友で、高校の同級生でもある星野未央は、多分俺の気持ちに誰よりも早く気付いたと思う。
高校生の頃はよく三人でいることが多かったから、星野が俺の気持ちに気付いていることは知っていた。
でも、こうして星野の方からそのことについて切り出してきたことは今までなかった。
「今でもまだ好きなくせに」
「……お前に関係ないだろ」
「あんたの失恋なんかどうでもいいの。ただ、意外と霧島って大人だなと思っただけ」
「は?大人?」
「昔からずっと、自分の幸せより純の幸せを一番に考えてるじゃん。それって、誰にでも出来ることじゃないと思うけど」
「……」
別に、難しいことではない。
好きな人の幸せを何よりも願うのは、普通のことだろ。
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