氷の女の意外な一面

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「霧島も、次は幸せになれるといいね」 「……別にどうでもいい」 「はぁ?何言ってんの。あんたまさか、死ぬまで純のこと好きでいるつもり?」 「そこまで言ってないだろ」 「もしそうなったらマジでキモいんだけど。霧島は顔だけは良いんだから、その顔うまく利用して良い女捕まえなって」 「お前、ふざけんなよ」 「とりあえずさぁ、純以外の女に冷たいとこ直した方がいいんじゃない?」 「女なんて、ちょっと優しくしたらすぐ勘違いするだろ。そういうの、マジで面倒くさい」 「うわ、最低。いつか痛い目にあえばいいのに」 近寄ってくるのは、俺の顔しか見ていないどうでもいい女ばかり。 本当に好きな女には、好きになってもらえない。 小学生の頃からずっと、純だけを見てきた。 他の女を見ようとしても、結局純と比べてしまう自分がいた。 そんな俺が、今さら純以外の女に惹かれることなどあり得ないと、このときは思っていた。
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