彼女の視線の先

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「じゃあ、霧島くん。早速、プランナーの立場から意見を聞かせてほしいんだけど」 俺は何を焦っているのだろう。 二人の会話を強引に遮り、打ち合わせを始めた。 彼は俺が思っていたよりもずっと、仕事を理解しているようだった。 こちらが何を聞いても、彼は間を置かずに言葉を返す。 きっと頭の回転が速いのだろう。 楢崎が彼をこの打ち合わせに参加させたことも納得出来る。 その打ち合わせの最中、彼女は俺と霧島くんのやり取りに耳を傾けながら、真剣にメモを取っていた。 彼女は、メモを取っていない間はずっと霧島くんに視線を送っていた。 彼女の視線の先に、俺はいなかった。 彼女が霧島くんを好きになることはない。 数日前までは、何の根拠もないけれどその予想に絶対の自信があった。 ただ、見つめているだけなのに。 その自信は一気に崩れ落ちていった。 「すみません、ちょっと席外します」 打ち合わせ中にかかってきた電話は、何か急なトラブルを伝えるものだったらしい。 彼女は俺に頭を下げ、霧島くんにこの場を任せ慌ただしく出て行ってしまった。
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