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「ごめんなさいね。お父さん、この様子だと朝まで起きなさそうだから」
「気にしないで下さい。今日はご挨拶出来て良かったです」
「こちらこそ。樹のこと、末永くよろしくお願いします」
「はい」
帰り際になって、ようやく自分の気持ちも落ち着いてきた。
昨夜突然プロポーズされ、今日実家に数年ぶりに帰省し、結婚の報告をした。
予想外の急展開に、嬉しさと戸惑いが入り乱れていたけれど、霧島くんと母が親しげに会話している姿を見ていると、実感がわいてくる。
決して、夢ではない。
私は、霧島くんと家族になるんだ。
「樹、ちゃんと空港まで見送りに行きなさいよ」
「当たり前でしょ。お母さんに言われなくても、最初からそのつもりだから」
ここでサヨナラなんて嫌だ。
だって今日は……二人きりの時間を過ごせていない。
「樹、次はいつ帰ってくるの?」
「なるべく顔出したいとは思ってるけど仕事もあるし……」
両親に会えるのはやはり嬉しいけれど、仕事をしていると、なかなか頻繁に足を運ぶ気にはなれない。
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