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数えきれないほどのキスを交わした後、私たちはようやく皆がいるリビングへ戻った。
「あれ、樹さん顔赤くない?」
「冬汰、お前まさか上で樹さんにやらしいことしてたんじゃないだろうな」
「実家でするわけねーだろ。誰に覗かれるかわかんねーし」
「……」
私は火照ったままの顔を両手で隠しながら、霧島くんたちの会話を聞き流した。
キスだけで赤くなってしまうなんて、恥ずかしい。
本当は服も脱がされそうになったけれど、それはさすがに慌てて止めた。
下に霧島くんの家族がいるのに、最後まで出来るはずがない。
それなら欲求不満で札幌に帰る方が、まだどうにか耐えられる。
「じゃあ俺たち、そろそろ帰るから」
「え、もう帰るの?もう少しゆっくりして行けばいいのに」
「樹さんの帰りの飛行機の時間、迫ってるから」
霧島くんがそう言うと、皆仕方なく納得してくれた様子で私たちを見送ってくれた。
「樹ちゃん、また来てね。冬汰のこと、末永くよろしくお願いします」
「あ……はい!こちらこそ、よろしくお願いします!」
見送られて家を出た後、私は重大な過ちに気が付いた。
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