幸せはこの手の中に

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「あっ!」 「どうしたんですか」 「そういえば……結婚するって報告したっけ?」 「それなら婚姻届の証人欄に書いてもらったとき、報告したんで大丈夫です」 「ならいいけど……」 ついうっかりしていた。 霧島くんの家族があまりにも歓迎ムードで迎え入れてくれたから、つい今日は普通に会話を楽しんでしまった。 「それより、もう帰っても良かったの?飛行機の時間ならまだだいぶ余裕あるけど……」 霧島くんは飛行機の時間が迫っていると言ったけれど、私は霧島くんと会うときはいつも必ず最終便のチケットを取るようにしている。 ギリギリまで、彼のそばにいたいから。 「これから、寄る所あるんで」 「え、どこ?」 「区役所。今から、婚姻届出しに行きましょう」 霧島くんは、私の手を握りしめた。 繋いでいない方の彼の手には、先ほどの婚姻届が握られている。 「い、今から?」 「ダメですか」 ……私が今さら拒否するはずがない。
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