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「呼んだら罰金。一回千円」
「千円って……高くない?」
「没収されたくないなら、名前で呼ぶように意識すればいいんですよ」
数分で没収金額が一万円に到達してしまいそうで怖い。
「……冬汰」
「ん?」
名前を呼ばれた霧島くんは、名前を呼ぶと自然と反応を見せる。
恥ずかしくなってしまうのは、私だけ。
それが少し悔しかった。
何か私にも対抗出来るものはないだろうか。
必死に考えた末に、一つだけ前から気になっていたことを伝えてみることにした。
「じゃあ霧……じゃなくて、冬汰も……私に敬語使うのやめてくれる?」
「え?」
「敬語でも別にいいんだけど、なんか私が年上っていうのが強調されてる感じがして気になるっていうか……」
始まりが先輩と後輩だったから、私に対して敬語を使うのは仕方ないことだとわかっている。
でもこれから夫婦になるのなら、職場以外では敬語なんて使ってほしくないと思ってしまう。
「樹さんに敬語使うのは、もうほとんど癖みたいなものだったんですけど」
「え……」
「でも、わかった。じゃあ今日から、敬語はやめる」
彼はそう言いながら、私を愛しそうに見つめた。
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