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そんな結果、油断していた読子は後ろから来た二人に驚いてしまう。
「なに黄昏れているのよ」
トン! っと背中を叩かれた読子は「ひゃん」と叫ぶ。
「ヒカルちゃんに壬生先輩じゃない」
壬生先輩とはかつて読子が憧れていた幼馴染みのお兄さんである。
今では作家だったり執事(バトラー)だったり、亡き友人と片想いをしていた人との間に生まれた娘を引き取って戸籍まで偽装をして父親として育てるなど、色々と事情があるアラフォーお父さんである。
そんな彼を今でも読子は心のどこかで諦めきれていなかったりするし、老化が止まった読子に似て外見は若々しいので二人で並べばお似合いだったりもする。
「久しぶりですね本屋さん。ですが、今はいろいろあって神代性を名乗っているので、その名は出来れば……」
「いいじゃないか、ユーくん。どうせ壬生の名も捨てるどころか作家稼業の方でアピールしているんだし」
「そう言われてもケジメというモノが」
ヒカルと壬生のやりとりを見て読子は少し妬いてしまう。
お互いにこの二人は相手を異性として見ていないとはいえ、どこかお似合いに見えるからだ。
「やっぱりヒカルちゃんと先輩ってお似合いね。似たもの同士というか」
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