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「冗談キツいよ読子ちゃん。そんなんだからいつまでもユーくんを落とせないんだよ。ユーくんだってあの女にゾッコンだったからスルーしてただけで、読子ちゃんがユーくんのことを好きだって知ってたくせに」
「いや、その……今でも好意を持ってくれているのは嬉しいですが、私が誰かと交際すると言われたら娘も困るだろうし」
「エリスちゃんだって充分大人だし、今日だって彼氏と乱痴気二毛作(ズッコンバッコン)なんだぞ。あの子もユーくんの事はよく知っているし、祝福してくれるハズさ」
「ヒカルちゃん!」
勝手にヒカルが気持ちを伝えたことに読子は赤面した。髪の毛を傾かせて読子は自分の頬まで隠し、その仕草が傍目には可愛らしい。
「まったく、アナタもデリカシーがなさ過ぎますよ。そんなんだから三十過ぎても処女を拗らせているんです。座間くんとか新田あたりをつかまえて身を固めた方がマドカのおじさんたちも安心しますよ」
「全部阿澄に惚れている連中じゃない!」
壬生が口にした二人はヒカルの事務所ではある意味で看板娘である阿澄に惚れている人物である。
阿澄自身は別の男性に夢中でこの日もその男性にべったりと寄り添っている。そんな阿澄をこの二人は嫉妬の炎を燃やしながら見つめていた。
「とにかく読子ちゃんとユーくんは一緒になりなさい。これは命令よ」
「命令って───」
強引なヒカルに困惑した読子は周囲を見回したのだが、いつの間にか周囲はそれどころじゃなくなっていた。
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