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ティティはただ、軽くまつげを伏せただけだった。唇は無感動に閉じられて、その瞳はうつろに輝き、なにも見えていないように思える。
「今日は気分がいい。ティティ、今宵はぞんぶんにおまえをかわいがることにしよう。あのふたりのように」
ティティは顎を上げて、突かれる喜びに啼くリュドラーと、全霊をかけて己のものにしようとするトゥヒムの嬌態を瞳に映した。かすかに唇の端を持ち上げたティティに、サヒサが機嫌よく唇を寄せる。
「ふたりのように、今宵は思うさまむさぼり合うとしよう」
聞こえているはずのティティは微動だにせず、絡み合う主従をながめる。反応がなくともサヒサは気にせず、従僕にワインを申しつけた。
「あっ、はぁあ、あっ、あ、あ」
深く穿たれるリュドラーの声に、トゥヒムがさらに勇躍する。その動きはだんだん激しくなり、やがて雷に打たれたように硬直すると、短く鋭いうめきを発して高まりの開放を迎えた。
「っ、う」
欲液の奔流に奥を打たれたリュドラーもまた、絶頂を迎えた。高い遠吠えを放ち、体を震わせる彼の傍にティティが近づく。残滓が残らぬようリュドラーの陰茎を軽く絞りながら、ティティはトゥヒムの腹を押してリュドラーから離れさせた。
「うっ……、ふ」
小刻みに震えて突っ伏したリュドラーを、トゥヒムは荒く浅い呼吸に胸を上下させながら呆然と見下ろす。
「自分がなにをしたのか、理解できていないという顔だな。トゥヒム」
「……サヒサ」
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