紙片

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「彼の純粋に君を想う気持ちと、そんな彼を心の底から信頼し、大切にしている君の想いをないがしろにするのは気が引けてね。こういう趣向を取らせてもらった」  感謝しろと言わんばかりのサヒサに、トゥヒムはひきつった笑みを向けつつ考える。もしも自分ではなく、別の誰かがリュドラーの純潔を手に入れたと知ったなら、どんな気持ちになるだろう。リュドラーは、どれほどの屈辱を感じるのか。 (リュドラーが、私以外に貫かれて支配される)  考えただけでゾッとする。とすると、ここはサヒサに礼を言わなければならないのか。しかし、そんな気にはなれない。――どうして。  トゥヒムはリュドラーを見た。ティティが薄い毛布をリュドラーにかけている。目は閉じられて、どうやら眠っているようだ。 「はじめての経験に、疲れたようだな」  愉快そうなサヒサを、トゥヒムは鋭い視線で刺した。 「さすがの騎士様も、お疲れのようだな」  愉快そうなサヒサを、トゥヒムは鋭い視線で刺した。 「おや。どうしたのかね」 「リュドラーを性奴隷にすると言ったのは、あなただろう」 「自分がすると言ったのではなく、条件を提示したら彼が呑んだというのが正しいな」 「どちらにしろ、おなじことだ」 「結果としてみれば、そうかもしれないがね」  ワインに口をつけるサヒサに、手に持っているグラスを投げつけたい衝動にかられてトゥヒムは震えた。怒りとも苛立ちともつかない感情がどこから来るものなのか、トゥヒム自身にもわかっていない。サヒサはそれを理解していると言いたげな顔をした。
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