指先で確かめて

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 感情の名前を知らないまま、トゥヒムはただ気持ちに突き動かされてここにいる。 「ああ、リュドラー」  艶めいたトゥヒムのささやきに、リュドラーはドキリとした。トゥヒムは夢見る顔つきでリュドラーの肌を撫でている。その妖艶な表情に、リュドラーはたぎった。  リュドラーの腹のあたりの布が動いて、疑問を感じたトゥヒムはそびえ立つ陰茎を見た。指を伸ばし、その先を軽くこする。 「……ぅ」  ちいさなうめきに引き寄せられて、トゥヒムはそのまま指の腹で先端に円を描いた。 「は、ぁ」  淡々とした刺激に、リュドラーの肌は浮遊した。背中にシーツが触れている感覚はあるのに、空中に浮かんでいるかのような錯覚を覚える。その中心点は、トゥヒムの指が触れている箇所だった。  壊れ物を扱うような、恐る恐るの愛撫に激しい快楽を覚えた肌が欲望に飢える。手指どころか足指も握りしめて、湧き上がる獣欲に耐えながらトゥヒムを見守る。子どもがはじめて見るものを確かめているようだと、場違いな感慨と庇護欲を湧き上がらせるリュドラーの陰茎は、ますます凝って脈打った。 「あ――」  指の腹にわずかな湿り気を感じて、トゥヒムは顔を近づけた。まぎれもなく先端が濡れている。自分の指にリュドラーが興奮しているのだとわかり、うれしくなったトゥヒムはおおっている布をはがして唇を寄せた。 「っ! トゥヒム様、なにを……」  先端にぬるりとした温かなものを感じて、リュドラーは慌てた。取り上げられると察したトゥヒムは、そのまま口内に深く熱を咥えこむ。
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