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「うっ……、ん、そのような……、お、おやめくださ、ぁ……、あ」
包まれる心地よさに堪えつつ、リュドラーは身を起こしてトゥヒムの肩を掴んだ。引きはがされまいと、トゥヒムは強く吸いついて抵抗する。
「なりませ、んっ……、トゥヒム様」
華奢なトゥヒムがリュドラーの力に抗えるはずもなく、唇が陰茎から離れる。とっさに手を伸ばしたトゥヒムは、陰茎を握りしめた。
「んぅっ!」
「ああ、痛かったか」
「……、いえ。ですが、その、いきなりあのような行為は」
暗い中でもリュドラーの赤面に気づき、トゥヒムも赤くなった。
「あ、あれは……、おまえは私にしてくれただろう? だから、べつにかまわないじゃないか」
「あれとこれとは、別問題です」
「だが、私もリュドラーを心地よくさせたいんだ。私の手で、リュドラーに絶頂を与えたい」
言葉に詰まったリュドラーは、なんと答えるべきか考えた。トゥヒムは真剣に、心の底からそう思っている。彼の表情からそう理解したリュドラーは、太く長い息を吐き出した。
「ひとまず手をお放し下さい、トゥヒム様」
「なぜだ。――そもそも、私はおまえを抱きに来たのだし、おまえはそれを了承したのだぞ。されるがままおとなしくすると、約束をしたではないか」
「トゥヒム様。どうか、手を――」
しぶしぶとトゥヒムは手を離した。リュドラーは慈愛に満ちた苦笑を浮かべて、チェストの引き出しを探った。ここに、ティティの部屋にあったものとおなじ、潤滑油の瓶がある。
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