新たな己と相手の遭逢

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 トゥヒムの言葉にリュドラーは早鐘のように鳴り響く心臓を抑え込み、ベッドの上で四つん這いになった。尻を持ち上げれば、トゥヒムが「違う」と言ってリュドラーの腰に触れる。 「それだと、おまえの顔を見られないだろう? リュドラー」 「……は。顔、ですか」 「そう、顔だ。おまえの表情を見たいんだ。私を受け入れたおまえが、どんな顔をしていたのか気になっていた。だから、あおむけになってくれ、リュドラー」  腰にあったトゥヒムの手のひらが尻に滑る。緊張に浮かんだ尻のエクボをくすぐったトゥヒムは、ほらと言いながら軽く尻を叩いて促した。 「さあ、リュドラー」  ゴクリと唾を飲み込んで、リュドラーは姿勢を変えた。羞恥と期待に心身をうずかせながら太ももに腕をかけ、膝を肩に寄せる。 「どうぞ、ご存分に」  硬くかすれたリュドラーの声に彼の興奮を知って、トゥヒムも喉を鳴らした。スリーパーを脱いで下着姿になったトゥヒムはリュドラーの脚の間に座り、立ち上がっている陰茎を見下ろす。  尻の谷に触れたトゥヒムは指を滑らせ、繊細にうごめく菊花を見つけると、そこに小瓶の中身を垂らしつつシワを開くように指の腹で撫で、たっぷりと入り口が濡れてから指を押し込んだ。 「ぅ……」 「つらいか、リュドラー」 「いえ」  つらいどころか高揚している。リュドラーは自分の想いを噛みしめた。一点の曇りもない純粋で美しい主に肉欲を向けられただけでなく、覚えたての快楽を引き出される背徳感による陶酔に、リュドラーは目を細めて細く長い息を吐いた。
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