新たな己と相手の遭逢

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 トゥヒムはグッと腰を進めて、リュドラーの肩を掴んだ。深い場所まで拓かれたリュドラーの背が丸くなる。近づいた額にキスをしたトゥヒムは、そのままリュドラーの首に腕をかけてささやいた。 「キスがしたい。――私を見てくれ、リュドラー」 「トゥヒム様、ああ……」  深く繋がり、唇を重ねる。どちらともなく舌を伸ばして絡め合い、リュドラーの手がトゥヒムの背中に回った。華奢なトゥヒムはリュドラーの腕にすっぽりと包まれる。 「リュドラー」 「トゥヒム様、……んっ、ふぅ」  自分の裡に眠っていた己の存在を相手に開き、それを重ねてじっくりと互いの欲を確かめる。ゆるゆるとそれを示し受け止めながら、淫奔な舞いへと昇華する。汗ばむほどに激しく体をぶつけあい、声を重ねて欲を放ったふたりは唇をついばみながら、余韻の波に名残を乗せて、ふたたび炎を燃え上がらせた。 「ああっ、あっ、トゥヒム様――っ、は、ああ」 「リュドラー、リュドラー……、ああ……、そんなに私が欲しいのか? 絡みついて、締めつけて、もっともっととねだってくる」 「ふぁ、ああ、トゥヒム様……、どうぞ、ああ、熱のすべてをあさましく乱れる俺に――、は、ぁああっ、くぅ、奥に、どうぞ、奥に……、あなた様を、ああっ、もっと……、このリュドラーに……、ッ!」  リュドラーの求めがなくとも、トゥヒムは劣情のすべてを彼の奥へそそぐ気でいた。 「リュドラー、リュドラー……っ」  夢中になって腰を打ちつけてくるトゥヒムの姿に、リュドラーの胸が甘く切なく締めつけられる。 「ああ、リュドラー、受け止めてくれ」 「トゥヒム様、トゥヒム様――、ご存分に……、あっ、あぁあああ!!」  汗にまみれ、欲蜜をほとばしらせて、ふたりは時間の許す限り睦み合い、己と相手の欲を確かめ味わい尽くした。
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