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◇
ティティの指がリュドラーの胸肌を滑る。
クスクスと降ってくるティティの笑い声を浴びるリュドラーは、天蓋の鏡に映る自分とティティの背中を見ていた。
ティティの舌が胸に落ち、尖りを含まれたリュドラーがちいさくうめく。ティティは笑みを含ませた息を舌に乗せて、リュドラーの胸乳に甘えた。
「っ、ふ……、は、ぁ」
官能にうわずる自分の顔を見ながら、リュドラーは昨夜の自分はどんな顔をしていたのかと考える。
(トゥヒム様は、いま鏡に映っているような俺の顔をご覧になられたのだろうか)
「心ここにあらず、って感じだね」
ティティの顔に視界を遮られ、リュドラーは視点を鏡からティティの目の中に移した。そこにも自分が映っている。
「昨夜の逢瀬がそんなに楽しかった?」
ティティはいたずら好きの少女みたいに小首をかしげ、リュドラーの鼻先にキスをする。
「……なぜだ」
「うん?」
「トゥヒム様に、紙片を渡したのはなぜだ。いつからそれを計画していた。……おまえになんの得がある」
なにを狙っているのだと目元を険しくしたリュドラーに、ティティは唇を尖らせた。けれど瞳は笑ったままだ。
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