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「は、ぁ、あ……」
あえぐリュドラーはティティの眉根が苦しげに寄せられているのを見た。
なぜ彼はそんな顔をしているのだろう。自分の身を暴く罪悪に苛まれているのか。――いいや、違うな。ティティはこの身をまさぐり拓くことを楽しんでいる。ではなぜ、ティティは顔をゆがめている? どうしてそんな悲しそうな……。そう、苦しいのではなく悲しいのではないか。寄る辺ない子どものように、頼りない目をしている。
「っ、ティティ」
リュドラーが呼ぶと、ティティは艶然と唇をゆがめた。
「もっと刺激が欲しい? でも、あんまりするとティールームへ行けなくなるからね」
「違う……、腕を」
リボンをほどいてくれと、リュドラーは手首を動かした。ティティはすこし首をかしげて、けれど理由は聞かずにリボンをほどく。自由になった手で、リュドラーはティティの頬を包んだ。
「……なに?」
「泣くんじゃないかと思ったんだ」
「なにそれ」
ティティの笑みが気弱に崩れた。リュドラーはティティの顔を両手で包み、親指で目じりを撫でると頭を胸に引き寄せた。広い胸にティティの頬が触れる。リュドラーは絹糸のようになめらかなティティの髪を撫でた。
「ここから逃れたいのか」
「なんで?」
「自由を欲しがっているのではないかと思ってな」
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