第一章

12/87
前へ
/94ページ
次へ
   その村には集会という集まりがあった。 村と言うには少々大きなその村は、後々知ったことだが、 ダークエルフという一族の心臓に当たる村だった。 いくつもの集落が点々と存在するダークエルフの、唯一王族が住む村。 それが、俺の生まれた村だった。  四方は頭の白い、鋭い頂の山々に囲まれ、その間から冷たい湧き水が流れていた。 王族の屋敷を基に言うのであれば、 その湧き水は少しずつ幅を広げ、巡るようにうろうろとしながら、村を横断していた。 村の丁度真ん中を横切るその川の、曲線を描くように落ちる、 『繁栄』を意味するライラフと言う最も大きな瀑布は、 その瀑布から少し高台に位置する王族の屋敷から眺めると随分と良い景色らしい。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加