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一歳年下のアイツ。
小学校から同じ学校で、家の方向が同じだったため、たまに会話して、たまに一緒に帰る。そのくらい。
何故かアイツと一緒にいると落ち着いた。
高校に入ってバスケを初めたアイツは、異様なまでの色気を放つようになった。
男のオレでも見とれるくらい、カッコ良くて、背が高くて、人気がある。
そんなヤツが、今、触れそうなほど顔を近づけている。
オレは、ただただ、その顔に見とれていた。
きっと、暑さで意識が朦朧としていたんだ。
数秒、お互いに見つめあったまま、時間が止まったかのように、微動だにしなかった。
最初に動いたのは、アイツ。
気付いたら、口唇が熱かった。
きっと、暑さのせい。
絡まる舌も、二人の呼吸も、艶かしい音も、きっとうだるような暑さのせいだ。
でなければ、この状況を受け入れることも、気持ちいいと思うこともないはずだから。
呼吸が苦しい。
酸素を全て奪われるような感覚に、頭がくらくらした。
思わず、ヤツの肩を強めに叩く。
それに気付いたアイツは、やっと解放してくれた。
お互い肩で息をしながら、視線は外さなかった。
何を考えているのか分からないアイツの瞳から逃れられなかった。
そして、もう一度アイツは全てを奪い取るようなキスをした。
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