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「莉々、久しぶりだな」
「そうだね」
大人の笑みは、どこか遠いけれど柔らかい。安心できる。
「悠太郎くん、元気だった?」
「ああ。莉々は?」
「私も元気。仕事も順調だし」
「それはいいことだな」
「悠太郎くんは?」
「俺もまあ順調かな。最近ちょっと残業続きだけど、やっと解放されそう」
「お疲れ様。大変な時なのに来てくれてありがとう」
「仕事よりも二人の方が大切だからな」
「ほんっとうに悠太郎くんってイケメン」
「お前のそんなところも変わらねーな。でも、他の男褒めてもいいの?」
不敵に上がる口角と楽しげな声色に、莉々はビクリと肩を震わせる。勘が鋭いことは知っていたが、もう既に勘づいているとは。
恥ずかしさもあったが、少しほっとした。認めてくれていると感じるのはまだ早いが、肩の荷が下りた気がする。
二人は共に拓人の待つリビングへと向かった。
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