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「ていうか、今日は何の集まりなの?」
ソファの下に座って足を組んだ陽向は、もう寛いているらしい。その左に、何かを察したらしい悠太郎が腰を下ろす。莉々と拓人は、緊張した面持ちで二人の前へ正座した。
「…えっと、ご報告がありまして」
「報告?」
二人で相談して、拓人が言おうと決めていた。重荷を背負いたいという小さな見栄だ。少しの間のあと、すっと顔が上がった。
「俺たち、結婚します」
「…はっ?」
これでもかというくらいに目を丸くしている陽向。その横で息を吐き出した悠太郎。それはため息ではない、優しいものだった。
「…あ、そういうことか。姉ちゃんが誰かと結婚して、拓人も誰かと結婚して、たまたまそのタイミングが被った的な?だから略して言ったんだ。あー、なんだよ。わかりにくい言い方すんなよな」
「いや、陽向」
「俺と莉々が結婚するんだ。俺たち、夫婦になる」
率先して説明する拓人に莉々は少し感動した。
ーーこんなに男らしい姿、久々に見た。
いつの間に成長したのだろう。なんて、親のような気持ちになる。
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