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──1ヶ月。
長いようで短い30日。夏休みが始まる前の1ヶ月はあまりにも長い気がするけどきっとこの1ヶ月はとっても短く感じるだろう。
茅月はバカだ。手術したらもっと生きれるのに。学校だって行けるようになるかもしれないのに。
「かなちゃんなら説得できるかなって思ってね」
南さんは寂しそうに笑ってから小さなため息をついた。
目の下にくまができてるから、昨日はあまり寝てないのだろう。
「ありがとうございました」
私はお辞儀をして茅月の病室に行った。病室は相変わらずきれいで、殺風景だ。入るときにいつも少し戸惑う。
茅月はそこで静かな寝息をたてていた。
側にあったパイプイスをベットの側に持ってきて座る。窓から静かに風が入り込んで心地が良い。
「ちーのばか」
閉じた瞳、前より白くなった肌、細い首……
全てが愛しくなる。好き。少しの間だけでも側にいて欲しい。 体温を感じていたい。生きててほしい。
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