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私はただひたすら頷いた。何度も何度も。ただそうするしかなかった。きっとそうであってほしいと思った。 「俺、死んだら空になるよ」 まだ覚えてる。きれいで自由だから空になりたいと言ったあの幼い頃の茅月の言葉。 開けっぱなしの窓からはみでた青色が眩しい。 「空になったら全部見えるし、見守ってられるからさ」 茅月は泣いていた。涙を見せないように空を見ていたけれど太陽の光がその涙に反射してキラキラと光る。 (きれい、) 今まで見た中で一番悲しい涙だった。お願いだから、遠くに行かないで。
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