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病室から出るとちょうど看護師さんがいて、私に気づくと会釈をしてくれた。 私の手の中にはさっき茅月から渡された封筒がある。 茅月から八重ちゃんへの手紙。封筒の表には「八重へ」と書かれている。私には手紙なんて一度も書いてくれたことはないのに、どうして八重ちゃんに手紙を書いたんだろう。何が書かれてるんだろうか。その事ばかりが頭の中を渦巻いて歩くのが遅くなっていた。 どうしても気になってしまって一瞬開けてしまおうかとも思った。けれどそんなことをしたら2人にも悪いしもしかしたら自分が一番傷つくかもしれない、そう思って急いで封筒を鞄の中へ入れ、家に向かって思いきり走った。暗くなり始めた道に街灯の明かりがつき始めた。
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