5

1/9
前へ
/65ページ
次へ

5

茅月の余命のことを聞いた日から私は毎日お見舞いに行くようになった。寝ていることが多くなったけど、起きているときは以前と変わらない「ちー」だった。 時は駆け足で過ぎていき、夏休みは目の前だった。 相変わらず、八重ちゃんはちーのお見舞いに行かなかったけど私と八重ちゃんは話すことが多くなっていった。 あの手紙はまだ私の机の奥にある。 ある暑い日、私は八重ちゃんと陽の当たる道を歩いていた。太陽は容赦なく光を撒き散らしている。 私たちは近くの公園でジュースを飲むことにした。それぞれ自販機で買ったジュースをベンチに座って栓をあける。さっきまでくだらないことばかり話していたのに、急に無言になって話しにくくなってしまった。 最近見た映画のこと、友達の変なところ、新しく発売したお菓子のこと…話すことはいくらでもあるのに。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加