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お茶はキンキンに冷えていたので、持っているだけで汗が少し引いた。蓋を開けて人か頼んでほっとしていると何処からかフルートの音が聞こえた。聞き覚えのある曲。少しの間、その音色に聞きほれていると曲が弾き終わったのか、音はやんでしまった。
「かなちゃん」
聞いたことのある声が私の名前を呼んだ。河原から女の子がこちらに手を振っている。
「やえちゃん」
私は急いで下まで降りると八重ちゃんに駆け寄った。
「どうしたの、そんなに急いで」
「ちーが、病院、病院いこ」
八重ちゃんを見つけて緊張が解けたのか私の目には涙がたまっていた。頭も混乱してうまく説明ができず舌が回らない。
「落ち着いて、どうしたの」
持っていた手紙を思い出し八重ちゃんに黙ったままそれを渡した。八重ちゃんは戸惑いながらもそれを受け取り、読み始める。
『八重へ』
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