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「ごめんね、ボール変な方に飛ばしちゃった」
坊主に刈られた頭の子が言った。
「顔に当たったよね、怪我してない?」
茅月は私の顔を隅々まで見るとにっこりと笑った。それを見て、私の鼓動は速くなる。どくどくどく、といつもより強い振動に戸惑いながらもぎこちなく大丈夫、といい茅月に握られた手が熱くなっているのを感じた。
「かなちゃん来てたなら声かければいいのに。一緒にドッチボールしようよ」
「う、うん」
茅月に握られた左手から体全体が、のぼせたときのように熱くなる。
地面に落とされたままのウサギの人形がじっとこっちを見ていた。
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