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「お前次第」
僕次第の、未来――
桜の花びらが、僕の髪をかすめていく。「過去」となって舞い降りる花びら。
僕は顔を上げた。桜を見上げた。変わることなどないと思っていた桜。
だけど、なあ、タカヤ。
僕も変わっていくんだな。
過去を踏んで、過去と別れて未来へと進んでいくんだな。
僕にもその道が残されているんだな。
いつの間にか頬に熱い雫を流していた僕の肩を、タカヒロが抱いてくれた。
過去と別れ、現在と共に生き、未来に夢を見る。
“もう悲しいことは言わなくていいよ”
その瞬間、タカヤの声が聞こえた気がした――
(完)
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