6人が本棚に入れています
本棚に追加
僕とタカヒロと遊んでいる時にはノートによく写生していた。僕らが知らない内に立ち止まって熱心に描いていたせいで、僕らとはぐれたこともある。
学校は色んな風景を見つけるスポットがあるだろう。きっと冒険のしがいがあるに違いない。
……今のアイツはひょっとしたら、僕らと遊んでいる時より輝いているかもしれない。
楽しそうに写生するタカヤの姿が脳裏に浮かんできて、僕はまたうつむいた。
――僕の知らない内に、二人は変わっていく。
いや。それとも本来の姿に戻っていっているんだろうか。
二人を押さえ込んでいたのは僕自身?
何とも言えない空虚な思いが心に差し込んだ。
僕は「未来」になっても、変わる気はなかった。変わった自分を想像できなかった。英語を駆使してばりばりの外交系? そんな馬鹿な。英語が無事身についたとしても、きっともてあましているに決まってる。
現在に見出さなければいけない「未来」の中で、二人はますます変わっていくのだろうか……
ふと思った。
タカヤは「現在」の中にある「未来」を、どう描くだろう。
風景画師がそんなものを描くはずがないか。
そんなことを思って、僕は自嘲気味に笑った。
最初のコメントを投稿しよう!