前編

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 僕とタカヒロと遊んでいる時にはノートによく写生していた。僕らが知らない内に立ち止まって熱心に描いていたせいで、僕らとはぐれたこともある。  学校は色んな風景を見つけるスポットがあるだろう。きっと冒険のしがいがあるに違いない。  ……今のアイツはひょっとしたら、僕らと遊んでいる時より輝いているかもしれない。  楽しそうに写生するタカヤの姿が脳裏に浮かんできて、僕はまたうつむいた。  ――僕の知らない内に、二人は変わっていく。  いや。それとも本来の姿に戻っていっているんだろうか。  二人を押さえ込んでいたのは僕自身?  何とも言えない空虚な思いが心に差し込んだ。  僕は「未来」になっても、変わる気はなかった。変わった自分を想像できなかった。英語を駆使してばりばりの外交系? そんな馬鹿な。英語が無事身についたとしても、きっともてあましているに決まってる。  現在に見出さなければいけない「未来」の中で、二人はますます変わっていくのだろうか……  ふと思った。  タカヤは「現在」の中にある「未来」を、どう描くだろう。  風景画師がそんなものを描くはずがないか。  そんなことを思って、僕は自嘲気味に笑った。
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