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そんな兄が、突然引きこもりになったのは、大学二年の頃だった。
理由は今でもわからない。
突然、“大学には行かない”と言い出し、二階の自室に引きこもってしまった。
最初の内は、僕も父も理由を聞いたり、励ましたりしていたが、ドア越しに話しかけるたびに兄は部屋から怒鳴り暴れた。
次第に僕や父が家にいる時には姿も見せなくなった。
僕も父も半ば諦めていたが、母は違う。
毎日三食、母は兄の飯を作り、兄の部屋に食事を届けた。
ドア越しにでも話しかけているのか、兄の「うるせー!」という声が二階から聞こえてくる。
母はその度に泣きながら戻ってきて、僕は兄が許せなかった。
だが、兄の部屋に乗り込もうとしても、部屋に鍵がかかっていて入れない。
僕の部屋には、鍵なんてついていないのに……。
僕の部屋は、二階の兄の隣。
いつもテレビやゲームの音が響き、夜中には時々泣き声や叫び声が聞こえる。
そんな事も、いつしか慣れていた。
しかし、父は内心我慢できなかったようで、兄が引きこもってから目に見えてイライラしている。
家族の会話も少なくなった。
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