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こんな日に限って絶妙な邪魔が入るんですよね。
ダダダダダ!
バタン!
「アリシア! マスターはいるか?!」
「えぇ、二階の部屋にいますけどー」
「そうか、すまない!」
薬屋のおっちゃんが騒々しく階段を昇っていきます。
息も絶え絶えって様子ですが、何かあったんでしょうか。
どうにも事件のカホリがします。
でもひょっとしたら、犬の赤ちゃんが生まれたとか、ホノボノした報告かもしれないです。
希望ってのは最後まで捨てちゃいけません。
「アリシア! 大至急、手の空いてる連中を集めてくれ!」
ダメでした。
さようなら早上がり、いらっしゃいトラブルさん。
あぁ……今日は何時の帰宅になるんでしょうか。
「そういや、残業代って出るんでしたっけ?」
ちょっとした気がかりが沸き上がりましたが、そっと胸の奥にしまいました。
集められた人たちの様子からの判断です。
私はぼんやり顔ではありますが、鈍感な性質ではないのです。
「街の子供が一人、行方不明なんですか?」
「目ぼしいところは探したが見つかってない。瘴気(しょうき)の森になんか入り込んでたらやっかいだ」
「確かに、今は危険なシーズンに入ってますもんね」
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