第2話  一家にひとり アリシアさん

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こんな日に限って絶妙な邪魔が入るんですよね。 ダダダダダ! バタン! 「アリシア! マスターはいるか?!」 「えぇ、二階の部屋にいますけどー」 「そうか、すまない!」 薬屋のおっちゃんが騒々しく階段を昇っていきます。 息も絶え絶えって様子ですが、何かあったんでしょうか。 どうにも事件のカホリがします。   でもひょっとしたら、犬の赤ちゃんが生まれたとか、ホノボノした報告かもしれないです。 希望ってのは最後まで捨てちゃいけません。 「アリシア! 大至急、手の空いてる連中を集めてくれ!」 ダメでした。 さようなら早上がり、いらっしゃいトラブルさん。 あぁ……今日は何時の帰宅になるんでしょうか。 「そういや、残業代って出るんでしたっけ?」 ちょっとした気がかりが沸き上がりましたが、そっと胸の奥にしまいました。 集められた人たちの様子からの判断です。 私はぼんやり顔ではありますが、鈍感な性質ではないのです。 「街の子供が一人、行方不明なんですか?」 「目ぼしいところは探したが見つかってない。瘴気(しょうき)の森になんか入り込んでたらやっかいだ」 「確かに、今は危険なシーズンに入ってますもんね」     
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