145人が本棚に入れています
本棚に追加
「長い時間瘴気なんか吸ってたら、でっかい病気になっちまうぞ。早いとこ見つけてやらねえと!」
居なくなったのは男の子との事。
この辺に危険な生き物って極端に少ないから、襲われる心配ってのはしてないんですが、話題に出た森はちょっとマズイですね。
よどんだ魔力の集合体が瘴気と呼ばれるものらしいですが、人体に甚大な悪影響を与えてしまうのです。
さらに言えば、魔力に対して抵抗力の低い子供は特に危険なんだとか。
そんな場所なんかじゃなくて、別の場所でヒョッコリ見つかってくれるといいんですが。
「しょうねーん、少年やぁーい!」
街中の路地や建物の中はもちろん、井戸や屋根の上とか、目ぼしい場所を回り続けました。
門外にも出て茂みの中やら空洞の中、あちこち手を尽くしましたが、手がかりすら見つかりません。
皆の焦りが肌に伝わってきます。
住民が血相を変えて動いているせいでしょうか、付近の動物が驚いています。
今だって、森の茂みから跳ねウサギがこっち見てますよ。
頭だけヒョッコリだして確認しています。
あーいう子達と会話でもできたらなぁ、森の中のこともより詳しくわかるのになぁ。
魔獣と会話、できたらなぁ……。
なー……。
「そこな獣よ、妾の頼みをきけい。」
獣かわビクッと体を震わせる。
何をそんなに驚いておるのか、小心者めが。
最初のコメントを投稿しよう!