第2話  一家にひとり アリシアさん

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「長い時間瘴気なんか吸ってたら、でっかい病気になっちまうぞ。早いとこ見つけてやらねえと!」 居なくなったのは男の子との事。 この辺に危険な生き物って極端に少ないから、襲われる心配ってのはしてないんですが、話題に出た森はちょっとマズイですね。 よどんだ魔力の集合体が瘴気と呼ばれるものらしいですが、人体に甚大な悪影響を与えてしまうのです。 さらに言えば、魔力に対して抵抗力の低い子供は特に危険なんだとか。 そんな場所なんかじゃなくて、別の場所でヒョッコリ見つかってくれるといいんですが。 「しょうねーん、少年やぁーい!」 街中の路地や建物の中はもちろん、井戸や屋根の上とか、目ぼしい場所を回り続けました。 門外にも出て茂みの中やら空洞の中、あちこち手を尽くしましたが、手がかりすら見つかりません。 皆の焦りが肌に伝わってきます。 住民が血相を変えて動いているせいでしょうか、付近の動物が驚いています。 今だって、森の茂みから跳ねウサギがこっち見てますよ。 頭だけヒョッコリだして確認しています。 あーいう子達と会話でもできたらなぁ、森の中のこともより詳しくわかるのになぁ。 魔獣と会話、できたらなぁ……。 なー……。 「そこな獣よ、妾の頼みをきけい。」 獣かわビクッと体を震わせる。 何をそんなに驚いておるのか、小心者めが。     
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