第2話  一家にひとり アリシアさん

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ーーお姉さん、僕とお話ができるの? 「妾をなんと心得る。108の魔術を使いこなす『宵闇の美魔女』とは妾のことよ」 ーーえ、そんな通り名聞いたこと無い…… 「ふむ、今夜は肉の気分じゃ。兎肉にするとしよう、覚悟せい」 ーーごめんなさい殺さないで宵闇さま! それからしばらく話し込み、瘴気の森に人間の子供がいることを突き止めた。 全く、これだけの事に時間をかけすぎじゃ、グズめ。 ウサギの案内に続くと、確かに瘴気の森の中で少年が倒れている。 行方不明の坊主と見て間違いあるまい。 ーー魔女様、そのニンゲンはもう助からないよ。体に斑点が出てる。悪い気を吸いすぎたんだ。 「凡愚め、すぐに諦めるのは愚者の悪癖よ。見ておれ」 ーー何をする気なの? 「そこに生えていた草から汁を絞り出し、あっちに生えていたキノコを細かく刻み、それらを混ぜたものをしばし陽に当てる。最後に布でくるめば完成じゃ」 ーー完成って何が? 「察しの悪いヤツよ。特効薬に決まっておろうが。これを口にあてがっておれば、毒なんぞ瞬く間に中和できよう」 処置を施してから背負い、急ぎ森から出た。 薬のおかげで体からは斑点が消えて意識も戻り、やがて歩けるようになった。 妾の手にかかれば当然の結果じゃな。     
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