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「この辺にお尋ね者が潜伏してるらしいぞ。安全には気をつけておけ」
「イエス、マスター!」
ビッと敬礼で返しました。
ただでさえアレな子と思われてるんですから、せめて返事くらい良くしないと。
路頭に迷ったら一大事ですからね。
「さてさて。邪魔者も居なくなったし、妄想に耽りますかね。ウェッヘッヘ」
私を辱しめたり足を引っ張ったりする妄想癖ですが、同時に日々の彩りでもあるのです。
仕事もせずに心の旅をしてお給金が貰えるだなんて、たまんねぇぜ。
机に両腕を敷いて頭を寝かせて準備万端。
後は気持ちが堕ちていくのを待つばかり。
「今度はどうしよう。100人の王子さまに言い寄られて、99人をふる話とか……」
その時です。
入り口のドアがドカッと勢いよく開かれ、さらにバァンと閉じられました。
私はね、もうビクーンですよ。
急ぎの用にしても、もう少しマナーを弁えて欲しいもんです。
「あのぅ、何かご依頼ですか?」
「はぁ、はぁ」
「……えっと。それとも報告ですか?」
「はぁ、はぁ」
ジャキンと剣が抜かれました。
白刃さんこんにちわ!
でもこんな所で抜剣だなんてご法度ですから!
「おとなしくしろ、騒ぐんじゃねえ!」
あぁーーヤバい人だったー!
なんで今日はこうも不運ばかり続くんですか!
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