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よりにもよってマスターは出たばかりだし、絶体絶命じゃないですか!
「オレはなぁ、もう10人殺ってんだよ。あと1人増えたところで何も変わんねえ……」
アワワワ、完全に目つきがヤバイですよぉ。
こうして為す術もなく、無残にも私は殺されてしまうのでした。
お父さんお母さんごめんなさい。
最後の仕事が妄想でごめんなさい。
せめて来世は、すっごく強い剣士にでも生まれ変われますように。
剣士に、誰よりも強い剣士に……。
◆
『くっ、この女強ぇぞ!』
『囲め囲め! サシでやりあうな、数で押し潰せ!』
『フッ、愚かな』
『ぐわああ! 化け物だぁ!』
『おい、お前ら!逃げるんじゃない!』
『我が聖剣は、悪には決して屈さぬ。非道のものどもめ、覚悟しろ!』
◆
「おい、聞いてんのかよ!」
「なんだ。まだ生き残りがいたのか」
「え、何だコイツ。急に雰囲気が……」
「逃げれば死なずに済んだものを。我が聖剣の前に塵となるがよい」
「いや、どう見てもそれホウキ」
恐怖のせいだろうか、目の前の男が不可思議な事を言いだした。
呆然と口を開いたままで、何とも間抜け面だ。
彼我の戦力差のわからん生き物は哀れなものだ。
子犬でさえそれくらいは弁えているというのに。
「愚かな悪党よ。我が竜王剣の力、とくと味わうが良い!」
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