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第1話 妄想が健やかに あなたを救う
あなたは、雄壮たる王都をご存じですか?
一帯を横断する美しき大河。
街並みから醸し出される整然の美。
その中心にはあるのは大聖堂。
荘厳で豊かな音色の鐘は、毎日住民に祝福と安らぎを与えてくれます。
大通りにはレンガ造りの老舗店が立ち並び、世界中から集まる人々で連日大盛況。
今をときめく有名貴族様や名人役者たちが、壮大で華やかな物語を彩っています。
ここは誰もが憧れる、歴史薫る偉大なる王都!
新旧の文化が融合し、永遠の繁栄が約束された麗しき王都!
……から、10日くらいかけて村々を経由しつつ馬車を走らせて大森林に入り、そこでまた3日くらい駆けて森を抜けた先に、微妙に寂れた街があります。
ここは特に珍しい物もない、片田舎の長閑な街。
あるのは人情と広大な畑くらい。
それから野生動物と戯れる事もできますね。
私の生まれ育った街です。
そしてそんな侘しい田舎の、これまたよくある門のすぐ側に、私の職場があります。
冒険者ギルドの受付嬢。
それが私の仕事です。
ギルドの看板娘、アリシアとは私の事です。
「ふわぁぁ。依頼も報告もからっきし。暇ですねぇ」
人の気配のしない店内に、私の大あくびが響き渡ります。
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