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一切の音がない漆黒の闇の中、思考だけが浮かんでいる。
自らは存在するのだが、味も匂いも触覚もない。
外部からの情報は完全に遮断され、
体の中の重い感覚だけが、存在を圧しつける。
自分の思考以外、外部の全てを消し取られ、
全てが無となり、無の中に自我だけが存在する。
無の中にも、
時間というものは確かに存在するのだが、
私はその尺度全てを見失い、
二度と見つけ出すことはできない。
尺度を失うと、時間は漂うだけになり、
全てが永遠となる。
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