01. ホットミルクと縁側の約束

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 夜、ふと目が覚める。  時計を見ると、午前1時。10時に寝たばかりなのに、うつらうつらとしただけで、あまり眠れた気がしなかった。量も質も悪い睡眠ってどうなんだろう。  それでも悪夢を見なかっただけましだと思いながらゆっくりと体を起こす。  隣の布団でぐっすり眠る茜ちゃんを起こさないようにそっと部屋から出る。音をたてないように階段を下りて、はじめに向かうのはキッチン。 ごろりと寝転がる猫のイラストが描いてあるマグカップに牛乳を注いで、レンジであたためる。  今は夏だから、少しぬるめに。  温める間じっとレンジの前に立ち、ちょうどレンジがあたため完了を示して鳴り響く直前に取り消しボタンを押して、一息つく。  いつもこの瞬間は少し緊張するのだ。  不意に後ろから噛み殺したような笑い声が聞こえて、背中がびくりと震えた。
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