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立ち上がり軽く延びをすると、そのまま台所へ向かった。台所はまるで新築のように綺麗にされており、シンクに水一滴もない状態だった。 そんな台所の冷蔵庫は大きすぎず小さすぎず、僕の胸の辺りまでの高さのもので、なかにはペットボトルのお茶やコーヒー、カルピスやオレンジジュース等が入っており、どれも未開封のままだった。 その中から1本のお茶と魚肉ソーセージを手にするとリビングのソファーに腰掛け、ケータイを取り出した。 僕の家はアパートに3人暮らし。母親と弟の2人と暮らしている。父親はついこの前に離婚し、今は学費を仕送りする程度の関係だ。 ちなみにその父親は僕の父親ではなくて、他人といったところかな。一応15、6年ほどお世話になってきたし、ちゃんとお父さんって呼んではいたけど、やっぱり僕の存在は少しばかり邪魔だったんだと思う。 離婚するときにお母さんの方を向きながら、「弘也(ひろや)はもう義務教育終えてるんだ、父さんの力を借りなくても生きていけるよな」そう話をしていたのを聞いていた。同じリビングにいた僕にはその言葉を僕に向けて言っていたようにしか思えなかった。 母さんはしぶしぶといった感じで了承していたが、きっとこの先の不安を感じてたんだろうなって思う。
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