episode225

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「九条さん――ごめんなさい、ちょっと面倒なことになって」 先刻縛られていたセダンの後部座席で 僕は待ちぼうけの恋人に急いで電話を入れる。 「今から?んんと――」 やめた方がいいと言いたい気持ちを抑えて 僕は運転席を盗み見る。 薄井は大して興味もない顔で それでも任務を遂行するべく聞き耳を立てていた。 『話は会ってからでいい。とにかく――』 君が心配なんだと 九条さんが言うから――。 「分かりました。それじゃ待ち合わせのカフェに?」 『とっくに閉店だよ』 微かに苛立ちを孕んだ声で九条さんは答えると 『インペリアルホテルのバーラウンジに。VIPルームを抑えとく。いい?』 「分かりました」 場所を指定して電話は切れた。
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