第1章

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「えっ? それって…。」 まるでプロポーズのように聞こえるけど… 直接結婚してほしいと言ってる訳じゃないし、高村くんの気持ちがよく分からない。 側にいてほしい気持ちは伝わるけれど… それはマネージャーとして? 彼の気持ちを測りかねていると 畳み掛けるように口を開く 「俺達はもう高校生じゃない。自分の意思で結婚できる年だ。 もう十分待ったし、仕事も頑張った。結婚が仕事に影響しないくらいの実績は作ったつもりだけど、それでダメになるなら止めて他の仕事を考える。 十分貯蓄もあるし、家もある。」 「家?」 「夕貴と住むために都内の一等地にマンションを買ってる。そこに住まなくても家賃収入だけでも暮らしていける。 夕貴を幸せにしたい。」 高村くんの言葉を聞きながら胸が震えた。 彼はこの6年私と一緒になるために頑張ってくれていたんだ。 嬉しくて嬉しすぎて目の前が揺らいで彼が見えない。 「返事は?」 「ありがとう。高村くんのことがずっと好きだった。誰と出会っても高村くんほど好きになれなくて、誰も私の心に入ってこなかった。 私も一緒にいたい。」 「じゃあ…」 大好きな彼の告白 嬉しくて天にも昇る気持ちだけど 4月から仕事を始めてまだ四ヶ月 やっと慣れて、これからってところなのに 好きな人と思いが通じたからって、やってきたことを途中で放り出すなんて私にはできない。
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