第1章

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CHACHAからマンションまで10分あまりの道のり ノロノロと歩きながら、店長の言葉を思い出していた。 夕貴に会いたい 高村くんが言ってたという言葉が胸を熱くする。 今でもそう言ってくれるのだろうか? マンションの数メートル前で佇み二階を見上げると、白いカッターシャツの洗濯物が見えた。 付き合い始めた頃、高村くんが緑のジャージを着るときにベランダを眺めていた。 あの時と同じ風景だ。 二人で緑のジャージを着て笑いあったあの時… 一番楽しかった頃のことが次から次に思い出される。 店長の言う通りだ 引っ越すのは彼に確かめてからだ もし私の勘違いなら、話を聞かずにマンションを出て行ったら彼を傷つける。 でも…本当に彼女だったら… 確かめるのが怖い このままじゃ彼のことが分からないまま無限ループに陥って、ずっと苦しいままだ。 確かめないで引っ越したらそれはそれで苦しい気がする。 どっちも苦しいならハッキリさせて失恋するなら一時苦しくてもきっとけじめがつけられる。 傷つくのを怖がってばかりじゃダメだ 失恋覚悟で会いに行こう。 もし、高村くんに彼女がいたら… そう考えただけで胸が苦しい だけど…その時は諦める マンションも引っ越そう 高村くんのことはキッパリ忘れる。 彼女がいなかったら… 彼の気持ちがまだ私にあるのなら 彼に気持ちを伝えよう。 『好きです』と…
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