第1章

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痛みと気怠さに耐えながら辿り着いた職員室。 「おはようございます。」 挨拶をしながら入っていくと、高橋先生が駆け寄るようにやって来た。 「おはよう。」 「おはようございます。」 「あれからどうしたか、気にならない?」 もったいぶったような言い方に、 気になりませんが何か? 心の中で返事をしても声には出せない。 「何かあったんですか?」 「あったから、あなたのところに来てるのよ。」 聞いて欲しいのならそう言えばいいのに、高橋先生は素直じゃない。 私に頼むのはプライドが許さないようだ。 別に聞きたくもないんだけど… 「はあ、そうなんですか。」 「なーに?その気のない返事。こっちは言いたくてウズウズしてるのに…。あなた山口先生のことが気にならないの?」 気になりませんが? って言いたいところだけど、そこはまあ私も大人だし 「えっと、そこまででもないって言うか…。」 言葉を濁していると、高橋先生がマジマジとこちらを見てくる。 「あなた、何かあった?」 高橋先生の言葉にドキンっと心臓が跳ねた。 バージン喪失って顔に出るの? 思わず熱くなる頬を隠すように手を当てた。 「べ、別に、何もないですけど…。」 「雰囲気が変わったと言うか…キレイになった気がしますわ。」 「何も変わったことは無いですけど…。」 「そう、気のせいかしらね。」 「気のせいです。」 高橋先生の鋭い観察眼にタジタジだ。 背中に変な汗が滲できた。
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