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痛みと気怠さに耐えながら辿り着いた職員室。
「おはようございます。」
挨拶をしながら入っていくと、高橋先生が駆け寄るようにやって来た。
「おはよう。」
「おはようございます。」
「あれからどうしたか、気にならない?」
もったいぶったような言い方に、
気になりませんが何か?
心の中で返事をしても声には出せない。
「何かあったんですか?」
「あったから、あなたのところに来てるのよ。」
聞いて欲しいのならそう言えばいいのに、高橋先生は素直じゃない。
私に頼むのはプライドが許さないようだ。
別に聞きたくもないんだけど…
「はあ、そうなんですか。」
「なーに?その気のない返事。こっちは言いたくてウズウズしてるのに…。あなた山口先生のことが気にならないの?」
気になりませんが?
って言いたいところだけど、そこはまあ私も大人だし
「えっと、そこまででもないって言うか…。」
言葉を濁していると、高橋先生がマジマジとこちらを見てくる。
「あなた、何かあった?」
高橋先生の言葉にドキンっと心臓が跳ねた。
バージン喪失って顔に出るの?
思わず熱くなる頬を隠すように手を当てた。
「べ、別に、何もないですけど…。」
「雰囲気が変わったと言うか…キレイになった気がしますわ。」
「何も変わったことは無いですけど…。」
「そう、気のせいかしらね。」
「気のせいです。」
高橋先生の鋭い観察眼にタジタジだ。
背中に変な汗が滲できた。
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