第1章

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「そんなに考えることかしら?ま、いいわ。明日にはお返事くださる?」 「はい、なるべく…。」 気が乗らない。行くなら一人で行って欲しい。 山口先生は落ち着いた大人って感じだけれと、酔っ払って私に好意を持ってるようなことを言ってた。 どこまで本気が分からないけれど、高村くんに誤解されるようなことはしたくないから、近づきたくない。 どうやって断ろう 明日までに何か理由をこじつけて断らなくちゃ。 それにしてもあんなに一人では家に入れないと言ってたのに、何があったのだろう。 ちょっと興味はあるけど、敢えて山口先生にきくほどのことではない。 聞いて高橋先生に恨まれたら面倒だし…。 人のことより目の前の仕事だ。 油断するとすぐ二人で過ごした濃密な時間が蘇り、顔が赤くなったり上の空になってしまう。 それでなくても意識を現実に留めることに苦労しているのに、人の世話を焼いてる場合じゃないのだ。 朝のホームルームを終えて教員室に戻る。 今日の授業は二時間目からだから、提出物のチェックをすることにした。 きを引き締めようと、口をキュッと結んでプリントの採点をしていると、後ろから声をかけられた。 「浅井先生も月曜は二時間目からですか?」 振り返ると山口先生の穏やかな笑顔。 「そうなんです。山口先生もですか?」 「ええ、奇遇ですね。」 奇遇?たぶんいつもそうだったのに今まで気づかなかっただけなのに、大袈裟だなと心の中で苦笑する。
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