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「分かりました。浅井先生が来てくれるのはwelcomeですよ。」
片方の広角を上げて悪戯っぽく話す山口先生。
からかってるように見える。
本気か冗談か掴みかねて戸惑ってしまう。
「また、そんな冗談。
やめてください、手伝いませんよ。」
何だか分からないうちに山口先生のペースに巻き込まれそうで不安になる。
ハッキリ言って必要以上に近付かれないようにしなくては…
「そんな、連れないなー、冗談じゃないんです。
浅井先生は僕がお誘いしたら迷惑ですか?」
山口先生が神妙な顔を向けるから、やっぱりちゃんと伝えないといけないと思った。
「あの、好きな人がいるんです。結婚も考えてるので、個人的に会うことはできません。」
「なんだ、彼氏がいるんですね。
そういえば浅井先生、雰囲気が変わりましたね。」
じっと覗き込むように見つめてくる。
そんなに近づかないで欲しい。私が近づきたいのは高村くん一人なんだから…。
おもいっきり体を反らして距離をとった。
「え?何も変わってないですよ。」
「なんだか落ち着いていて、おどおど感が抜けた感じ。痩せた?
二日見ない間にキレイになってる。」
「変わらないですって。」
「まさか…」
「な、何ですか?」
山口先生の視線に変な汗が滲む。
山口先生は鋭くて苦手だ。頭がよくて何を考えているのか分からない。
私がレイだということも彼は感づいている。
その冷静な目に何でも見透かされそうで苦手だ。
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